長崎県対馬の最北西端に位置する矢櫃は、朝鮮半島に最も近いことから古代より大陸との交流の接点であった鰐浦の西方約2キロにある無人の浦で、中世朝鮮の記録には室町時代の通信使の船が停泊したと記録されている。矢櫃の浦には岸壁や突堤が残っていることから、2018年8月、アジア水中考古学研究所との共同研究により、総合調査を行った。
当社はマルチビームソナーによる海底地形調査、ドローンによる写真測量、東京大学との共同開発による「SSS : Speedy Sea Scanner」による海底の写真測量を実施し、現在3つのデータから矢櫃全体の3次元モデルを作成している。
2019年、2020年と3年にわたり総合調査を行う予定である。
矢櫃には現在4箇所の石積みの護岸跡地が確認されており、この護岸はかつて大陸からの船を一時的に非難・停泊させていた施設ではなかったかと考えられているが、詳細は未だ多くの謎に包まれている。
弊社の調査が歴史の解明に繋がれば幸いである。